アンナ(イヌ 12歳)、ちょっとこっちに来て、話を聞いてくれる?
今日は窓からの光が気持ちいいね。
(パパの座っているソファにやってきて)パパのとなりは好きだワン。
でもリビングに長くいると、なんだかそわそわしちゃうことがあるワン。
リビングでごはんを食べたあと、パパの仕事部屋に戻りたくなるんだよね?
リビングは落ち着かないワン。
まず、行動の流れを決めると落ち着きやすい、って言われたんだ。
ごはん→トイレ→落ち着く→それから移動、って順番を固定すると気持ちの切り替えがスムーズになるよ。
でも落ち着く場所が分からないと不安だワン。
それで気づいたよ。フクがうちに来て、リビングをどんどん模様替えしていたら、アンナの落ち着く場所が、なくなってしまったんだ。
だから、いつもごはんのあとで、うろうろ歩き回ったり、鼻を鳴らし続けていたんだね。
ハウスはトイレになっちゃったから、なるべく離れた場所に、もうひとつ、アンナの居場所を作ってあげたいと思った。
仕事部屋に置いていたペットベッドを、ほら、ここに持ってきたんだよ。

いつものベッドだワン!中に入ると安心できるワン。
ごはんを食べて、トイレを済ませたら、パパがこのペットベッドにアンナを誘導するからね。
誘導っていうことは押し込まれちゃうワンか?
自分で入っていいワン?
もちろん。アンナが自分から入って、ふぅっと息をついたら3〜5分だけそのまま。長くいなくていいんだ。
それならできそうワン。ちょっと落ち着いたら仕事部屋に移動すればいいワンね。
そうそう。すぐ移動!じゃなくてひと呼吸置く。
リビングを好きになる練習だよ。
今日、さっそくベッドに入ったら眠くなっちゃったワン。
うまくいったようだ。安心している証拠だよ。
ソファとベッド、どっちでも落ち着けるようになりたいワン。
アンナの「落ち着きポイント」が増えれば、仕事部屋との行き来もスムーズになるはず。
ちょっとずつ練習するワン。パパのそばなら安心ワン!

「行動チェーンを整える」は、応用行動分析(ABA)のトレーニング技法だニャ。
行動チェーン(行動連鎖)っていうのは、
何かして → 次にこれをして → 最後にこうなる
っていう、行動の流れをわかりやすくまとめる考え方ニャ。
アンナの場合で言うと
ごはんを食べる
リビングでトイレに行く
パパが静かに片づける
落ち着く場所で少し休む
それから仕事部屋に戻る
この 順番が毎日同じだと、安心して行動できるニャ。
次に何が起こるか が分かると、犬もすごく落ち着くんだニャ。
逆に、途中でパパがバタバタ動いたり、
アンナが急いで移動したりすると、
流れがプツンと切れてしまうニャ。
そしたらアンナがソワソワしたり、
「パパ〜どうするの?」って催促したりするのは当たり前ニャ。
だからパパとアンナは今、
同じ順番で、ゆっくり進む練習をしているわけニャね。
これができれば、アンナはもっとリビングでもくつろげるようになるニャ。
行動チェーンは科学的にも大事な考え方ニャけど、アンナにとっては安心のレシピみたいなものニャ。
落ち着くには順番があるんだニャ〜。
