フクがきて1年

フクのワクチン接種に行ってきました。去勢手術をしてくれた行きつけの先生の病院です。

1年前までは動物愛護センターの保護猫だったフクです。ワクチンを打っていただいた後でパパとママがお迎えしました。今回は家族の一員として、パパとママと一緒に受診しました。

ワクチン接種の様子

ネットに入るの嫌だニャア…

(すばやくネットの口を閉める)
よし、頑張ろう!

バギーで行くからね

先生は手慣れた様子でネットのままワクチンを接種してくれました。

思ったより全然平気だったニャア。でも、ちょっと眠いニャア…

ネットに入れられたハチワレ白黒のネコのイラスト

フクは翌朝にはすっかり元気に。

家族との距離感

フクが来て1年…
最初の頃は本当に大変だったよね。フクがハコに飛びかかったり…

アンナも怖がってほえちゃったりしてたわね

まだ急な動きは怖いニャ
(高い場所から様子を見ている)

私も…フクが落ち着いてる時は大丈夫なんだワン。でも、急な動きは苦手ワン

うん…ハコお姉ちゃんもアンナお姉ちゃんも、ボクが近づくの嫌がるの分かったニャア。
みんなと仲良くなりたいけど…我慢の時もあるニャア
(少し寂しそうに)

この1年、家が荒らされたり誤食があったり、ハラハラしたなぁ

でも、ママが名前を呼ぶと来てくれるし、ブラッシングの時は本当に可愛いのよ
(フクの頭をなでながら)

ボクはママの膝の上が大好きニャア!

フクの甘えん坊な姿にメロメロだわ

ママのブラシ、気持ちいいニャア♪
(ママの手元でゴロゴロ言いながら)

猫じゃらし

猫じゃらしの時は二匹とも仲良く遊んでるワン!

イメージイラスト
ママが猫じゃらしを振ると2匹の猫が反応する
ネコはハチワレ白黒と、キジトラシロ

そうね。これ、振ってみようかな?
(猫じゃらしを取り出す)

あ!猫じゃらしだニャア!
(目を輝かせる)


(興味深そうに耳をピンと立てる)

ほら、どっちが先に捕まえるかな?
(猫じゃらしをふわふわと振る)

僕が取るニャア!

…私だって狙ってるニャ
(気付けば少し距離を縮めている)

これからの願い

みんながマイペースで過ごせる場所を作っていきたいね

そうね。焦らずゆっくりと

これからも頑張るニャア!

…急に来なければ考えてもいいニャ

落ち着いてる時は一緒にいられるワン

アンナも興奮しているときには私たちは近づけないニャ。お互い様だニャ。

動物愛護センターから家族になって1年。まだまだお互いの距離感を探りながらの毎日ですが、少しずつ理解を深めています。突然の行動で緊張が走ることもありますが、それぞれの安心できる場所を見つけながら、マイペースな家族として過ごしています。

これからも、誰もが居心地よく過ごせる、あたたかな家族でありますように。

暖かい家族の一場面を描いたイラスト

人の時間、犬の時間、猫の時間

散歩の途中でアンナが突然立ち止まりました。

(ピタッと静止して)この匂い、見逃せないワン…!

(困惑して)アンナ?また止まるの?他の犬のマーキングの確認をしたいのかな?

大切な匂いを逃したら、もう二度と会えないかもしれないワン!

(アンナを撫でながら)そっか、アンナはチャンスに執着しているんだね。パパがオンライン会議の時間を守ろうとしたり、面白い投稿をブックマークしたり、そんな感じなのかな。

2匹の猫が窓の外を見ているイラスト

(いわゆる「猫テレビ」つまり、窓の外を見ながら)そろそろパパとアンナが散歩から帰ってくるニャ。

アンナはなにかを大切にしようとして、執着してるんだニャ。僕もおやつにつられてパパやママに従うことはあるニャ。

ハコはこだわるものがなく、流れに身を任せてる感じがするニャア。

犬は執着すると時間が止まるニャ。それが「犬の時間」だニャ。

犬が立ち止まって見ているものは、人には見えないニャ。だから人は犬を「人の時間」に従わせようとするんだニャ。

「猫の時間」はそのどちらとも違うニャ。私は、なにかの匂いがすればそれを受け入れるニャ。去る者は追わないニャ。

僕が布をかじってしまうのは、暇つぶしだニャ。今この場所が心地よければそこにいて、違う場所が気になれば移動するニャア。

見逃すことも、出会うことも、全て時の流れの一部ニャ。それが「猫の時間」だニャ。

ハコとフク、ただいま。アンナ、今日の散歩はあちこちで止まってばかりだったね。

パパには分からないかもだけど、今日はすごく大切な匂いがしたワン。昨日はなかった匂いワン。

人の時間は、いつも前に進もうとするニャ。

でも、時には立ち止まることにも意味があるニャア。

(考え込んで)そうか…僕は「人の時間」の中で、ただ前に進むことだけを考えてたんだな。

翌日の散歩

(急に立ち止まって)あ!

(今度はリードを緩めて)…大切な匂いがするの?

(驚いたように振り返って)パパ、分かったワン?

ううん、何の匂いかは分からないよ。でも、アンナにとって大切な時間なんだね。

(嬉しそうに)そうだワン!すごくいい匂いワン!誰かが幸せな匂いワン!

パパには、その「幸せな匂い」は感じることができないよ。でも、アンナと一緒に立ち止まることで、見過ごしていた景色が目に入るよ。

午後の陽射し。風に揺れる葉っぱ。道端の小さな花。

午後の陽射し、風に揺れる葉っぱ、そして道端の小さな花を描いたイラスト

ただいまワン!

パパたちが帰ってきたニャ。パパは理解しようとするのではなく、待てるようになったニャア。

人の時間の流れを、少し手放せたんだニャ。

理解できなくても、共有できる時間があるニャ。

犬の時間、猫の時間、人の時間、お互いに大事にしながら暮らしていきたいワン!

人の時間、犬の時間、猫の時間のイラスト

目薬なんていやだニャア

フクちゃん、今日はまた目の開き方が変ね…

ボクも左目が変な感じがするニャア

心配だニャ

前回は休診日で違う病院だったけど、今日はかかりつけに行けるね

そうね。最近フクちゃん、お家の中をよく探検してたから心配

ボク、いまは変なもの食べてないと思うニャア

病院のスタッフがフクの目を丁寧に調べているシーンのイラスト

先生が目薬を入れて、光を当てて、よく見てくれたの

結果はどうだったニャ?

傷はないけど、かきむしった跡があるみたい。前と違って、お腹は関係ないって

目薬をもらったニャア

ついでに爪も切ってもらえてよかったね

パパとママには爪切りさせたくないニャア

フクの爪切り、いつも大変だワン

目はまだ完全には治ってないけど、他は元気そうね

それは良かったニャ

でも目薬が大変そうだったワン

いやだいやだニャア!目薬なんていやだニャア!

フクちゃん、じっとしていてね

よーし、押さえるぞ!

うにゃーっ!パパが怖いニャア!

フクがパパから逃げ出すイラスト

フクが怖がってパパから逃げちゃったニャ…

パパ、すっごく反省してるワン

あのね、パパ。動物を押さえつけるのは最終手段よ。しかも、そんなに強く押さえたらダメでしょ!

ごめん…

フクちゃんの信頼を失うことになるのよ。目薬をするために、まずは落ち着いた環境を作って、フクの気持ちを考えながら…

本当にごめん…僕があせりすぎた

パパ、しょんぼりしてるニャ

ボク、怖かったニャア…でも、パパが反省してるの分かったニャア

パパ、これからは優しくできるワンか?

パパとママ、フクのことずっと見てるニャ

吐いたりしてないか心配なんだワン

ボク、目薬は嫌だけど、パパとママが心配してくれてることはわかったニャア

新しい爪とぎも買ってきたわよ

寒くないようにペットヒーターも用意したからね

目薬は必要だけど、フクちゃんの気持ちも大切ね

もっと穏やかな方法を考えよう

フクの気持ちに寄り添えるといいニャ

よろしくニャア

音に敏感なアンナとの生活

(そっと近づいてくる)にゃ~

(掃除機をかけ終わって)ふう、これで仕事場はきれいになったぞ。アンナが帰ってきたときにきれいな部屋だと喜ぶかな。

パパ、アンナがいない間にかまってほしいにゃ。

おや、ハコか。アンナがトリミングに行ってる間、ちょっと退屈なのか?

アンナがいないと静かだにゃ。あいかわらず、いろんな音に過敏で、よく吠えてるにゃ。

アンナはもともと音に敏感だったね。カラスの鳴き声や郵便バイク、それに小学校の体育館のキュッキュッって足音も苦手だし、選挙カーの声も怖がるからね。昨日の雷雨のときも、雷が鳴るたびに吠え続けてたよ。

イラスト カラスに向かって吠える犬

にゃ~、近所の犬の声にも反応して吠えることがあるにゃ。アンナにとっては、どれも怖い音なんだろうにゃ。どうすればアンナをもっと安心させられるかにゃ?

まず、音量そのものを下げるために窓を閉めたり、アンナがリラックスできる静かな場所を用意するのは効果的だよ。アンナがふだんパパの仕事場にいるのは、部屋に窓がないからなんだ。

さらに、音に慣れるために少しずつ訓練したらいいにゃ。

例えば、苦手な音を少しずつ小さな音量から聞かせて、徐々に慣れさせる方法もあるよ。

そのときは、アンナがリラックスできるようにおやつをあげたり、安心できる場所にいることを確認しながら進めるんだにゃ。

近隣の人たちとの関係も気をつけないといけないね。アンナの吠え声が聞こえている可能性があるけど、それが不快に感じるかどうかは、人間の心理的な問題でもあるんだ。

イラスト 近隣の人が騒音で困っている

専門家は「騒音」と「煩音」という言葉を使ってるにゃ。パパたちは飼い主として迷惑にならないように努力する必要があるし、それをちゃんとご近所に理解してもらって、信頼関係を築かなくちゃいけないんだにゃ。

パパが読んでいる「ドッグシグナル」っていうコミックの12巻(第52話)に雷を怖がる犬についてのエピソードがあったんだ。飼い主が慌ててしまうと、犬の不安が余計に増すんだよ。だから、僕もできるだけ落ち着いて対応しなくちゃ。それから抗不安サプリが役立つこともあるんだって。

ママは何を頑張ってるにゃ?

ママはね、アンナが不安そうなときにタイミングよく遊びに誘ったり、おやつをあげたりしてるんだ。そうすることで、怖い音が聞こえても気をそらせるし、ポジティブな体験に結びつけられるかもしれないよ。

イラスト 犬にオヤツをあげて落ち着かせる

なるほどにゃ、ママもいろいろ考えてるにゃ。アンナも少しずつ落ち着いてきてる気がするけど、これからシニアになるとまた変わるかもしれないにゃ。

そうだね。シニアになると感覚が変わるから、今まで大丈夫だった音が急に気になり始めたり、逆に気にならなくなることもあるかもしれない。それでも、僕たち家族全員でアンナを見守っていこう。アンナの健康と幸せのために、そして近隣との良い関係を保つためにもね。

にゃ~、パパ、そうするにゃ。アンナが安心して過ごせるように、これからも協力していくにゃ。

おっとアンナが帰ってきたよ。

ただいまワン!帰る途中でバイクとたくさんすれ違って、ずっと吠えてて、疲れたワン!

おかえり。いい匂いがするね。おなかすいたよね。

アンナが苦手そうな音をスマートフォンで録音してみたんだよ。ものすごく小さい音だったら大丈夫かも知れないよ?
あとで試してみよう。

ハコとフクの変化

お話のはじまり

ねえねえ、パパ、ママ。最近ハコとフクの様子が変わった気がするワン。教えてワン

そうね、アンナ。確かに二匹の関係は少し複雑になってきているわ

うん、色々と変化があったんだ。まず、フクのことから話そうか

フク、大きくなったよ!

フクが1歳になったの。それで、私たちフクの生活環境を少し変えてみたのよ

そう、今までXLサイズのケージで過ごすことが多かったんだけど、最近は家の中を自由に動き回れる時間を増やしているんだ

へぇ、フクは自由になったんだね!楽しそうワン

そうなの。1階から3階まで、フクが自由に探索できるようになったわ

でもね、気をつけなきゃいけないこともあるんだ。フクが電源ケーブルやアンテナケーブルをかじろうとすることがあってね

それは危ないワン!

そうよ。私たちが見つけたらすぐに止めるようにしているわ。でも、もっとケーブルガードを増やす必要がありそうね

ネコがケーブルをかじろうとしているイラスト

ハコとフクのギクシャク

なるほど、フクのことは分かったワン。じゃあ、ハコはどうなのワン

ハコのことも話さなきゃね。ハコは4歳の先住猫なの。フクが来てから、ハコの生活も変わってきたわ

実は、フクがハコにちょっかいを出すのは、フクが来た直後から始まっていたんだ

そうね。最初からフクはハコに興味津々だったわ。でも、フクがケージで過ごすようになってからは、その行動が一時的に収まっていたのよ

じゃあ、今はまた昔に戻ったワンか?

そうだね。フクがケージの外で自由に動けるようになってから、また以前のような行動が見られるようになったんだ

あれれ?ハコの様子が…

フクがハコを追いかけたり、ちょっかいを出したりすることが増えたわ。ハコは嫌がって逃げることが多いのよ

時には、フクがハコを逃げ場のない場所に追い詰めることもあるんだ。ハコは気迫で追い返そうとするけどね

えっ、それって大丈夫ワンか?

心配ね。特に最近、ハコとフクの体重がほぼ同じになってきて、ハコがフクに力では勝てなくなってきているのよ

そのせいか、ハコの行動も変わってきているんだ。僕たちに甘えてすり寄ってくることが増えたし、僕の仕事場のドアの前で訴えかけてくることも多くなったんだ

ハコがパパの仕事場に入りたがっているイラスト

ハコとフクの本音トーク

…ニャ。(小声で)フクが来てから大変だったけど、パパとママが私のことを大切にしてくれてうれしいわ。でも、もう少し静かな時間が欲しいニャ…

ニャア!(元気よく)僕、みんなと遊ぶの楽しいニャア!ハコお姉ちゃんともっと仲良くなりたいニャア。でも、ハコお姉ちゃんが怒るのはちょっと怖いニャア…

ハコもフクも、それぞれの思いがあるんだね

二匹の気持ちを理解しながら、みんなで協力していきましょう

時間はかかるかもしれないけど、きっと良い関係を築いていけると信じてるよ

写真 ハコが左奥、フクが右手前