私の体験に基づいて「犬の歯磨きで噛まれたくない」を書きましたが、飼い主に危険な行為や犬の健康を損なう行為をお勧めするわけではないことを、最初にお断りしておきます。
あらためて「犬が噛む」ことについて考えます。
犬が(例えば飼い主を)噛む前には、うなる、歯を見せる、といった「前触れ」があります。尻尾や耳を立てる、などとも言われます。こういう状況を、我が家では「ガウガウ」と言ったりもします。専門書は「攻撃性」と呼んでいます。
犬に攻撃性がでたときに、飼い主が「勝たなきゃ」と思うとひどい目に遭います。なぜかムキになってしまい、私は何度も失敗しました。
例えば、犬の歯磨きをしようとしたけど、犬がうなったので、やめてしまった。
これは、犬にとっては「うなったら、嫌なことを回避できた」という経験です。
この経験で犬は「嫌なことを回避したいときにはうなる」という学習をしてしまいます。「うなっても嫌なことを回避できなければ、噛めば確実に回避できる」ことにも繋がります。行動の「強化」と言われます。
人間が、例えば大声を出して犬を「叱る」のは、効果がないと思います。低い声で否定的な気持ちを伝えることはできますが、犬が興奮しているときにはたぶん攻撃性をあおるだけです。
まず冷静になりましょう。つくづく思いますが、犬というのは、人の心を鍛えてくれる存在ですね。。
犬に罰を与える手段、例えば特別な音を出す機械で驚かせるとか、犬が嫌がる味や臭いのものを塗ったり与えたりするとか、いろいろ試しました。大半は「何かをやめさせる」方法としては、うまくいったことがないです。犬に電気ショックを与える機械もありますが、たぶんかわいそうなだけなので、やめておきたいです。
「噛んだら思い通りになった」を経験させない方法。簡単なところから。。
(1)状況を作らない
犬が攻撃的になる状況を避けることができるなら、そういう状況を作らないのが、対策の第一歩になります。
犬をしっかり観察して「ガウガウ」を回避できるようになって、私はだいたい安全に暮らせるようになりました。
注意力や判断力が落ちているときは、そもそも犬に近づかないという手もあります。私は夜中のガウガウを解決できなかったので、犬と一緒に寝るのをやめました。
(2)あきらめさせる
前回の記事で書いたホールディングは、犬が自分の思い通りにならない状況を受け入れる、というトレーニングになります。
犬が人の手を噛んでも、人が革の手袋をつけていて、人が行動をやめなかったら、「噛んでも無駄だ」ということになります。そうならないと逆効果なので注意が必要ですが。。
日常のことですが、抱っこをしようとすると、うなることがあります。どこか体に悪いところがあって、触られると痛いのであれば、獣医師さんに相談です。ですが、悪いところがなくても、なんだかイヤだ、と思うときはあるようです。
おやつで気を引いて、抱っこさせてもらえばいいですが、気前が良すぎますね。。
「納得してね」と言い聞かせて、ゆっくり落ち着いて、抱きかかえて持ち上げると、おとなしく抱っこさせてくれることもあります。
抱き方が不適切だと犬が嫌がるので、正しい方法を学ぶことも必要でしょうね。。
犬や人の状況を個別に判断するには、専門家に見せたほうがよいかも知れません。
(3)嬉しいことを失わせる
さきほど「叱ったり罰を与えたり」をお勧めしないと書きましたが、「嬉しいことを失わせる」という手はあります。
飼い主が別の部屋に行ってしまう、とか、触る(抱く)のをやめる、とか。。「犬のこころの処方箋」などでも解説されていますが、子犬に甘噛みをさせたくない、といった場合に使えそうです。
どういうタイミングでどうすれば、そういう効果になるのか、ちゃんと選ばなくてはいけないですね。
しばらくやってみて、効果があるのか、ないのか、時間をかけて見極めて、うまくいかないときはやり方を見直したほうがいいですね。
悪い行動を強化しない。よい行動を強化する。私が経験したり調べたりしたことを、これからも書いていこうと思います。
人と犬が一緒に幸せに暮らせるように、私とアンナも、焦らずに、コツコツ、頑張ります。
文献
- 「愛玩動物飼養管理士実践ガイドブック ペット飼養相談の実例集 Ver 20」(公益財団法人日本愛玩動物協会 2019年)
- 小西伴彦「犬のしつけ学(基礎と応用)」第2版(インターズー 2015年)
- ブルース・フォーグル「ドッグズ・マインド」新装版(八坂書房 2005年)